日本の洗濯機の歴史|洗濯の基本
最近、洗濯機のない家庭はほとんど見られなくなりました。洗濯機がない家庭があるとしたら、この頃、巷で多く見られるようになったコインランドリーを使用している単身者かもしれません。
歴史を振り返ると日本人は昔話「桃太郎」のお婆さんのように川で洗濯をしていました。川の豊かな水流を利用して衣類をバシャバシャ動かしながら洗っていたのでしょう。衣類についた汚れは皮脂汚れが主ですから、ただ水に浸け込んだだけでは落ちません。洗濯機が発明される前は洗濯盥に水を張って、洗濯板に擦りつけて洗ったりしていたのです。すなわち、衣類の表面の水を動かす力を利用していたのです。
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日本の電気洗濯機の始まり
日本の電気洗濯機の歴史は1922年(大正11年)頃、アメリカから電気洗濯機を輸入したのが、始まりだといわれています。
その後1930年(昭和5年)、芝浦製作所(後の東芝)はアメリカの会社と技術提携し、国産として初めて攪拌式洗濯機ソーラーA型の生産を開始したのです。当然のことながら価格も高く、日本が第二次世界大戦へ向かう中で生産も思うように伸びず、戦前の生産は5000台程度でした。しかし手押しポンプや水道の水を盥に貯めて沢山の洗濯物を洗う主婦の重労働と手荒れの解消を考えると、この電気洗濯機はあこがれの的だったに違いありません。
しかし、戦争の色が強くなったこの時代、電気洗濯機が贅沢品とみなされ、生産も中止されてしまいました。すでに存在した洗濯機も、防火水槽と位置付けられてしまったのです。
第二次世界大戦後の日本の電気洗濯機の目覚ましい進歩
戦争直後の混乱期が収まると戦後の洗濯機の歴史が再び動き出します。イギリスのフーバー一槽式洗濯機が、日本の家屋にも合う小型で、比較的低価格だったことから、日本のメーカー各社が次々興味を持って、研究し始めたのです。
それまでの日本人の衣類として主流であった着物は洗い張りが伝統でした。しかし、この頃の日本はモンペで日常生活を過ごす人も増え、さらにはアメリカ式の洋服を着用するようになったことも洗濯機への関心を高めることにつながりました。
その日本のメーカーである日立、三菱、松下(後のパナソニック)、富士電機、三洋電機が攪拌式洗濯機を販売しました。
1953年(昭和28年)に今までの攪拌式洗濯機とは異なる洗濯機が注目を浴びました。この三洋電機製の噴流式一槽式洗濯機は、それまでの洗濯機より安く、使い勝手もいいので爆発的にヒットし、急激に普及しました。そんなことから、この洗濯機が価格も30000円以下に抑えられ、一般人が洗濯機を使う道しるべとなったともいえます。その年の洗濯機生産数は10,4679台と急速に増えました。
1954年(昭和28年)には、松下電器(パナソニック)は墳流式電気洗濯機で、絞り機がついた製品を発売しました。
電気洗濯機は使っているうちに必ず故障したり、性能が落ちてくるという性質を持った製品です。そのため必ず買い換えの必要が出てくるので、メーカーの研究開発も加熱していきます。
昭和30年代になると、戦後からの急速な復興に伴い、冷蔵庫、掃除機などが急速に普及しました。特に昭和25年の朝鮮戦争をきっかけに景気が上向きになると、日本の電化生活の歴史がぐっと進んできます。
1960年(昭和35年)には三洋電機から二槽式洗濯機が発売され、ローラー絞りに比べてよく絞れ、早く乾くという遠心脱水の効力で、ますます売り上げを伸ばしました。
1962年(昭和36年)の洗濯機の普及率は50%で、掃除機20%、冷蔵庫10%に比べて高い割合でした。洗濯機を使用することによって余裕のできた時間を他の仕事に当てたり、余暇を過ごしましょうというメーカーの宣伝戦略もあって、あの時代の主婦の心をつかみ、高額な買い物だとしても、貯金を使ってでも他の電化製品より優先して購入したのです。
昭和40年代に入るといよいよ、三菱と東芝から自動ニ槽式洗濯機が発売され、洗濯の工程すべてを自動でできるようになりました。また衣類乾燥機も発売され、ますます人の力を使わずにすべてを機械が作業をこなすようになったのです。
昭和50年台前半には「マイコン」が家庭電化製品に組み込まれるようになり、音声で、洗濯終了を知らせたり、自動的に洗濯物の量を測って、洗濯時間を決める機能など様々の付加機能も加えられました。
この頃の日本の家庭では身につけた家族の衣類を毎日洗う習慣ができて、洗濯の量が増える傾向にありました。そのニーズに合わせて1981年(昭和55年)には、脱水槽ですすぎと脱水を行う同時進行型洗濯機も開発されました。その代表的な製品として東芝のシャワーリンス銀河は洗濯時間短縮、節水効果が主婦たちの願いと一致してヒット商品となりました。
昭和40年にパナソニックが全自動洗濯機を開発していましたが、水をたくさん必要とするということであまり普及はしていませんでした。しかしその後徐々に改良された渦巻き式全自動洗濯機は、同様に昭和55年ごろから働く忙しい主婦に人気が上がり1990年(平成2年)ごろにはニ槽式洗濯機の販売数を追い越す結果となったのです。
昭和60年代に入るとますます洗濯機の開発が進み静音式の全自動、大容量、容量センサー付き全自動洗濯機など次々発売されて各メーカーの販売合戦が激しくなっています。
最近の電気洗濯機の特徴
2000年(平成12年)に発売されたドラム式と縦型洗濯乾燥機は静音化と節水性など高性能が人気を得て、共働き世帯、近所に気兼ねなく夜に洗濯したい人、マンションなど共同住宅に住む人に特に好評でした。
最新の洗濯機市場もやはりパナソニック、日立、東芝、シャープがメーカーごとの個性を競って主流になっています。例えば、パナソニックはヒートポンプで省エネを、日立は高速風でシワのない仕上がりを、東芝は静音性を、シャープは洗濯時間短縮などを特徴にしています。各自のライフスタイルに合った洗濯機を選ぶ時代が来ているのです。
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